メモ

教育実習が始まった。美術専攻で卒業した高校に、国語科の実習生として出戻った。

高校生の時にすごく大好きで尊敬していた美術の先生は、私が卒業の年に定年退職され非常勤として週数回高校で授業を持っている。今日職員室でたまたま会ったため挨拶ができた。

高校生の時の私は、とてもナイーブで気持ちを言葉にすることがとても苦手だった。(今もわりと苦手。)高2と高3の時は、なかなか気持ちが乗らず遅刻ばかりしており、指導部の先生に捕まって説教され、余計にやる気がなくなっての悪循環だった。自分でもなんでそんなことになっているかは当時はうまく言葉にできず、とても苦しかった。先が見えない受験と、努力が足りない作品と締め切りに追われ、コンクールに引っかかることもできず自尊心がズタズタだった。

数か月に1回、その先生を捕まえて話を聞いてもらう時間をもらっていた。当時はこんなことを言葉にしてしまうとそれを認めてしまうことになる気がして、言葉にすることはほとんどなく、「なんとなく学校がつらい」みたいなことをずっと言っていたと思う。先生はとても生徒思いで、察しが良く、美術が好きで、毎日楽しそうだった。もしかしたら、当時の私のグチャグチャな心境も察していたかもしれない。

当時も今もその先生のことが大好きだから、また会えなくなるのかと思うと既に寂しく思ってしまう。勉強も人と話すことも苦手だから、教員になる気は今のところあまりないけど、私にとってその先生みたいな大人に出会えたら高校生活はもっと違ってくるはずだから、私みたいに不器用な生徒に何かしてあげたいと思うところはある。